語尾の「に」は否定語


■語尾に「に」が付くと否定形になる

 会津弁で「〜してはダメ」「〜できない」というときは語尾に「に」を使います。ただ、このときに「に」の前に来る動詞も少し変化します。
 「行ってはダメ」というときは「行がんに」となりますし、「食べてはダメ」は「食わんに」となります。会話ではごく普通に使われています。

 「そっつのみず(道)は大雨で通行止めになってっがらクルマではとお(通)らんによ」(「そっちの道は大雨で通行止めになっているからクルマでは通れないよ」)
 「まだ開店前だがら店さははい(入)らんに」(「まだ開店前だから店には入れないよ」)
 「そろそろかえ(帰)んべ」「まだいだってよがんべ」「いいや、あんまり長居すっど、かかぁにおご(怒)られっがらもういらんに」(「そろそろ帰ります」「まだいいじゃありませんか」「いいや、あんまり長居をすると妻に叱られるのでもう居られないよ」)
 「このせんべい食っていい?」「ダメだ。それはあねちゃのだがら食わんによ」(「このせんべい食べてもいい?」「ダメよ。それはお姉ちゃんのだから食べちゃダメよ」)

これらの例から分かるように、「に」の前に付く動詞がまず変化します。動詞の「通る」は「通らん」に、「入る」が「入らん」に、「居る」が「居らん」に、そして「食う」が「食わん」と変化しています。おそらく、「通らん」「入らん」「居らん」「食わん」はそれぞれ「通れない」「入れない」「居られない」「食べられない」という否定の言葉が変化したものと思われます。
 そして語尾の「に」は、それを強調したのではないかと推測しています。