「ん」で始まる言葉


■日常的に使っている

 サッカーの元カメルーン代表で、Jリーグのガンバ大阪でも活躍したエムボマは、アルファベットで書くと「Mboma」なので、本当は「ンボマ」と発音するのだそうです。アフリカでは最初に「N」または「M」が来て、それに続けて子音で始まる地名や人名が多くあります。この場合「ん」と発音しますから、日常的に「ん」の発音で始まる言葉を使っています。
 ところが、日本人は最初の音が「ん」で始まると発音できないので、「エムボマ」と表記していると聞いたことがあります。

 しかし、会津人は「ん」で始まる言葉を日常的に使っています。
 同意・不同意を表す「んだ」「んね(んでね)」をはじめ、「んまい(んめ)」(美味しい)、「んまぐね」(おいしくない、まずい)、「んま」(馬)などがあります。「んだ」「んね(んでね)」は同意・不同意を表すだけに、日常会話で最も多く使われます。
 「これおめのがばんが」「んだ」(「これはあなたのカバンですか」「そうですよ」)
 「先週、ハワイさ行ってちたっつうでねえが」「んでね、オラが行ったのはスパリゾートハワイアンズだ」(「先週、ハワイに行ってきたそうじゃないか」「いや違うよ、ボクが行ったのはスパリゾートハワイアンズだよ」)

 また、「んまい」も食事のときなどに多用されます。なにしろ、食事は1日に3回は食べるのですから、感想を言うときに使われます。
 「ちょう(今日)のじゅうにぐ(牛肉)はんまがったな」「んだな」(「今日の牛肉は美味しかったね」「そうだね」)
 「えぎまえ(駅前)のいざがや(居酒屋)のさすみ(刺身)はんまぐながったな」「んまぁ、あんなもんでねぇが」(「駅前の居酒屋の刺身はまずかったね」「まあ、あんなもんでしょ」)

 このように、会津では「ん」で始まる言葉を使わない日はないといっていいのです。