実践! 会津弁講座


■会津弁はズーズー弁の一種

 会津弁は東北地方で使われている「ズーズー(ずうずう)弁」の一種です。
 それでは、ズーズー弁とはどんな言葉でしょうか。三省堂の大辞林で調べてみると、次のように書かれています。
 「東北地方特有の鼻にかかる発音で話される方言。また、その話し方。シ・ス、チ・ツ、ジ・ズが混同し、特にジュウがズウに近い音で発音されることからの俗称」
 「じゅう」が「ずう」と発音されるのです。ここから「ズーズー弁」という言葉ができたというのです。これは会津で生まれ育ったものには納得できる説明です。
 たとえば、「ねえやは十五で嫁に行き」を会津弁(ズーズー弁)でいうと、「あねちゃはずうごで嫁さいぐ」となります。「じゅうご」が「ずうご」といいますから、会津弁は立派なズーズー弁の一種だということができるでしょう。

 ほかにも、「し」は「す」、「ひ」は「し」、「き」は「ち」または「つ」と、そして「こ」は「ご」と発音することがあるので、たしかに混同されています。
 たとえば、「すし」は「すす」と発音します。「し」が「す」の発音になります。ところが、「年寄り」は「としょり」と、「し」は「し」と発音します。このように、「し」の発音は「す」と「し」が混在します。「ち」や「じ」なども同じです。これがズーズー弁の特徴です。

 ただ、同じズーズー弁といっても、地方による違いもあります。
 会津は福島県の一部ですが、その福島県は大きく3つの地区にわけられます。東の太平洋に面した「浜通り」地方、中央部の「中通り」地方、そして西の「会津」地方です。浜通り、中通りと比べても、会津弁は少し違います。
 会津弁では同意を求めるときに「んだべ」といいますが、浜通りのいわきでは「んだっぺ」となります。「だっぺ」は茨城や栃木、それに千葉などでも使うようです。
 同じ福島県といってもこれだけ違うのですから、これが他県となると、違いはもっと大きくなります。
 青森の言葉もズーズー弁といわれますが、ネイティブな青森弁で話されたら、会津弁を話す私たちが聞いても、内容の半分も分かりませんでした。ですから、ズーズー弁スピーカー以外の人が青森弁を聞いたら、何を話しているのかまったく分からないかも知れません。

 方言といえば、こんなこともありました。今から30数年前にはじめて沖縄に行き、タクシーに乗ったときのことです。運転手さんのほかに助手席に助手(?)がいたのですが、2人が沖縄弁(琉球語?)で話し始めたときは、何を言っているのかぜんぜんわかりませんでした。まったくの外国語に聞こえました。
 青森弁も同じです。同じ東北といっても、異国の言葉のようでした。

 閑話休題。会津弁はズーズー弁の特徴である「鼻濁音」で発音し、発音に気をつけて、会話の最後に「めすにでもすんべ」(ご飯を食べようよ)というように、「ベ」を付けるとそれらしくなるので、ズーズー弁初心者にとっても話しやすいといえるでしょう。

 どうぞ会津弁を楽しんでください。