さ行

さ行


   会津弁ではとてもよく使われる助詞、日本語の「に」に近い意味で使われることが多い。また、人の名前の後につけると「〜さん」の意味
 用語使用例1:会社「さ」いぐだ(会社に行くよ)、おめぇ「さ」か(貸)すた1万円、いづかえ(返)すてくれんだ(君に貸した1万円はいつ返してくれるの)
 用語使用例2:君子「さ」、つか(近)ごろちれい(きれい)になったな(君子さんは近頃きれいになったね)

ざい、ざいごう   一般的には山の中にある集落のことを指す、山間部

さぎおどで   一昨昨日 一昨日(おととい)の1日先だから「先」おととい

ささぎ   いんげん(野菜)

さすけね   大丈夫、問題ない 英語で言うところの「No problem」と同じ意味。日本語の「差し支えない」が訛ったものと思われる。
 用語使用例:「ケガすたそうだげんじょ、どんなあんべだよ」「ちょこっとすりむいだだげだがら『さすけね』」(「ケガしたそうだけど、どんな具合ですか」「少しすりむいただけなので大丈夫です」)

さっくべる   (木などを)燃やす 「くべる」の協調形

さっぱがま   野良仕事用の和風のズボン 男女ともはくが、「もんぺ」とは違って、腰の部分が袴のようになっている。「作業袴(さぎょうはかま)」が訛ったものだろうか

さむれ   侍、転じてわがまま、我を張る、傍若無人に振る舞う人のこと
 用語使用例:「おじづいで(落ち着いて)はなす(話)もでぎねす、あぎお(明男)にも困ったもんだな」「あれは『さむれ』だがらな」(「落ち着いて話もできないし、明男には困ったものだね」「あれは我を張るからね」

されがまな   かまうなの強調形、かまうな、放っておけ
 用語使用例:「太郎がきめっつまった」「『されがまな』」(「太郎がすねてしまったよ」「放っておけばいい」)

すずかに(しずかに)   ゆっくりと、気をつけて
 用語使用例:雨であすもど(足元)わり(悪)がら「すずかに」行ぐべ(雨で足元が悪いから、気をつけて行こう)

ししょね、しょうね(しょうあんめ)   しょうがない、仕方がない、どうしようもない
 用語使用例:いまさらそったらごど言ったって「しょうあんめ」(いまさらそんなこといったってどうしようもないだろ)

したがら(んだがら)   その通り、そうだ 相づちを打つとき、相手の話に同意するときに使われる
 用語使用例:「こどす(今年)はゆぎ(雪)がよぐ降るな」」「『したがら』よ」(「今年は雪がよく降るね」「そうだね」)

したげんじょ(んだげんじょ)   それでも、しかしながら
 用語使用例:「まず(町)のずんこう(人口)もすぐなぐ(少なく)なるばっかりだ」「『んだげんじょ』、盆踊りのとぎはにぎやがになるがら」(「町の人口が少なくなる一方だね」「それでも、盆踊りのときは賑やかになるよ」)

しゃっこい   冷たい(「ひゃっこい」がなまったもの) 「しゃっけ」と語尾が変化する場合がある
 用語使用例:水が「しゃっけ」と思ったら、せんめんち(洗面器)さ氷張ってたな(水が冷たいと思ったら、洗面器に氷が張ってたね)

しゃで   弟 「舎弟」が訛ったもの
 用語使用例:おめの「しゃで」はアメリカさいるんだってな(君の弟はアメリカにいるんだってね)

しょんべ   小便、おしっこ 「おしっこをする」は「しょんべたれる」となる。「たれる」は「垂れる」と同じ意味と思われる。

すぎね、すげね   寂しい
 用語使用例:娘がとうちょう(東京)さ行ったら「すぎねぐ」なんべな(娘が東京に行ったら寂しくなるだろうな)

ずさま(じさま)   おじいさん 爺さまが訛ったもの 類語→ずんちゃ

ずっけぇ(ずっこい)   ずるい

すっさね   知らないうちに

すったぐれる   とぼける
 用語使用例:「おめ、きんな、どれだげの(飲)んだがおべでっが」「あんまの(飲)んでねぇべ」「『すったぐっち』んじゃねぇぞ。しとり(一人)で1升もの(飲)んだべ」(「君は昨日、どれだけ飲んだかおぼえているか」「あまり飲んでいないでしょう」「とぼけちゃだめだよ。1人で1升近くも飲んでいるよ」)

ずない(ずねぇ)   大きい
 用語使用例:すばらぐみねぇまに「ずなぐ」なったなぁ(しばらく見ない間に大きくなったな)

ずにすんな   遠慮するな
 用語使用例:「もっとけぇ」「もうたくさんだし」「ずにすんな」(「もっと食べなさいよ」「いや、もうたくさんです」「遠慮するなよ」

すびたれ   けち、しみったれ 「しみったれ」が訛ったものと思われる
 用語使用例:「きんな、けんいづ(健一)あんつぁにごっつぉになった」「あの『すびたれ』がよぐおごってくれたもんだな」(「昨日、健一さんにごちそうになっちゃった」「あのしみったれがよくおごってくれたね」)

すみる   凍みる 豆腐を凍みらせてつくる高野豆腐は、会津では「すみ(凍み)豆腐」という

すらね   知らないが訛ったもの
 用語使用例:「俺のケータイ『すらね』べが」「おら、『すらね』な」(『ボクのケータイ知らないかい」「ボクは知らないよ」

ずんちゃ   おじいさん 「ずさま」は「爺さま」が訛ったものだが、「ずんちゃ」は「じいちゃん」が訛った言い方だと思われる

せいふろ   お風呂

せな   兄 兄を指す「兄な」という言葉がそのまま生きている。会津では長兄が大事にされるからか、「せなさま」と「さま」付けで呼ばれることもある
 用語使用例:「いづろ(一郎)あんつぁはおどごきょうで(男兄弟)でいづばん(一番)上だったよな」「いや、『せなさま』がいだべ」(「一郎さんは男兄弟の中で一番上(長兄)だったよね」「いや、上に兄がいたはずだよ」)

せづね   苦しい、つらい(日本語の「切ない」と同義)
 用語使用例:こめらがガンになっつまって「せづね」(子どもがガンになってしまったのでつらい)

ぜんめぇ   ゼンマイ(野菜)

ぞうさね   手間がかからない、簡単 「造作ない」が訛ったもの
 用語使用例:「ずでんしゃ(自転車)のパンク直すてもらいでだげんじょ、ずかん(時間)どのぐらいかかんべな」「『ぞうさねぇ』すぐだ」(「自転車のパンク直してもらいたんですが、時間はどのぐらいかかりますか」「簡単だから、すぐですよ」)

ぞうせまんま   雑炊 会津では冷やご飯を味噌汁に入れてさっと煮込んだものを「ぞうせまんま」という。子どものころにはよく昼ご飯に食べた。餅があると入れることもあった

そずる   壊す、傷める、(気分を)害する、失敗する(日本語の「損なう」とほぼ同義)
 用語使用例:こめらが騒いでしょうず(障子)「そずっつ」まった(子どもたちが騒いで障子を壊してしまった)

そだら(そだ)   そんな(どちらかというとネガティブな意味で使われる) 「そだらに(そだに)」となるとそんなにという意味になる
 用語使用例:「そだら」ごどやってっとあんちゃに怒(おご)られっぞ(そんなことをしているとお兄さんにしかられるよ)

そべる   甘える
 用語使用例:あらあら、そんなに「そべで」(あらあら、そんなに甘えて)

そんじ   それで
 用語使用例:「オレちっさてん(喫茶店)やんべがどおもってんだ」「そんじ、ぜに(銭)こはどうすんだ」(「ボク、喫茶店を始めようと思うんだ」「それで、お金はどうするの」)

そんね   違う、そうではない 同じ意味の言葉に「んでね」があり、「そんね」は会津若松周辺で使われていた