あ行

あ行


あいべ   行こう 目下の者には「あいべ」だが、目上の人とか、お客様には「あいばんしょ」と丁寧語を使う。また、女性は「あいばせ」ということが多い。「あいばせ」は目下の者にも、目上の者にも使う。
 用語使用例1:これから山菜採りに行ぐがら一緒に「あいべ」(目下、または親しい人に言うとき=どちらかというと、「一緒に来い」というニュアンスがある)
 用語使用例:これから山菜採りに行ぐがら一緒に「あいばんしょ」(目上、またはお客様にいうとき)
 用語使用例:これから山菜採りに行ぐがら一緒に「あいばせ」(主に、女性が一緒に行きましょうと誘うとき)

あがる   (家へ)入る、(仕事を)終える、(食事を)食べる
「あがる」には3つの意味がある。1つは「家に入る」、2つ目は仕事を終わりにする、3つ目は「お客様などに食事を勧める」こと。一般的に、「あがる」というと、家にはいることか、仕事を仕舞いにすることをいう。客に食事を勧めるときは、「あがらんしょ」とか「あがっせ」というように、語尾が変化する。「あがらんしょ」「あがっせ」は同じように使う。「あがってくなんしょ」「あがってくんつぇ」(食べてください)という言い方をすることもある。
 用語使用例1:玄関さ立っていねで「あがらんしょ」(玄関に立っていないで、どうぞ入ってください)
 用語使用例2:つうはんになっから「あがんべ」(昼食になるから仕舞いにしよう)
 用語使用例3:(お客様にお茶や食事を出したとき)「あがらんしょ」(どうぞ召し上がってください)

あっちゃ   向こうに
 用語使用例:おめはじゃまだがら「あっちゃ」いげ(君はじゃまになるから向こうに行きなさい)

あっつ   あっち、向こう 方向を示すときに使われる
 用語使用例:「たがす(隆)はどっちゃいった?」「『あっつ』の方さいった」([隆はどっちの方向に行ったのかい?」「あっちの方です」

あっちぃ   熱い
 用語使用例:皿 「あっちぃ」がらちぃ(気)つけろ(皿が熱いから気をつけなさい)

あね   姉、年上の女性を呼ぶときの敬称「さん」と同じような意味で使う
 用語使用例:君子「あね」、風邪ひいだっつげんじょ、さすけねがす(君子さん、風邪を引いたそうだけど、大丈夫ですか)※「さすけね」→「さ行」参照
 ※「げんじょ」とは動詞につけて「〜だけれど」という意味。

あねちゃ   姉、ねえさん 主として弟や妹が姉を呼ぶときに使う 類語→あんちゃ、あんつぁ
 用語使用例:さっき、父ちゃんが「あねちゃ」探すてだよ(さっき、お父さんがお姉ちゃんを探していたよ)

あんちゃ   兄、にいさん 主として子どものころに兄を呼ぶときに使う 類語→あんつぁ
 用語使用例:俺は「あんちゃ」ととす(歳)がとお(10歳)もはな(離)れでんだ(ボクは兄とは10歳も年が離れている)

あんつぁ   年上の男を呼ぶときの敬称「さん」、実際の兄に使うこともある
 用語使用例: 太郎「あんつぁ」、稲刈りはいづがらはずめんだべ(太郎さん、稲刈りはいつから始めるのですか)

あんつぁま   兄の敬称 おもに他人が使う
 用語使用例:おめの「あんつぁま」はいまどごに住んでんだ(君の兄さんは今どこに住んでいるの)

あんべ   あんばい(塩梅)、具合や状態のこと
 会津弁では「あんべわり」というと、「具合が悪い」「都合が悪い」こと。また、病気のひとに「あんべ、どだ」というと、「具合はどうですか」という意味になる。
 用語使用例:どうも風邪を引いたみたいで「あんべわり」(風邪を引いたみたいで具合が悪い)

   家 家が「い」と短くなったもの 私の家と言うときは「おらい」
 用語使用例1:雨が降ってちたがら「い」さ入れ(雨が降ってきたから家の中に入りなさい)
 用語使用例2:「おらい」さ寄っていがんしょ(私の家に寄っていきませんか)

いがった   よかった
 用語使用例:「とすお(敏夫)あんつぁの息子がだいがぐ(大学)さ受がったんだど」「そりぁ『いがったな』」(「敏夫さんの息子が大学に合格したんだって」「それはよかったね」

いぎま   勢い
 用語使用例:孝(たがす)がすげぇ「いぎま」でかげてったな(孝がすごい勢いで走って行ったね)

いぎゃう   行き会う、出会う、知り合いとたまたま、偶然に会うという意味合いが強い  「行き会う」が訛ったと思われる。発音は「き」の濁音と言うよりは「し」の濁音の「じ」に近い。したがって「いじゃう」と聞こえる
 用語使用例:喜多方駅で高校んときのマドンナのあさちゃんと「いぎゃった」。あいさづだけで別(わが)れだげんじょな(喜多方駅で高校のときのマドンナあさちゃんと(たまたま)出会ったよ。あいさつしただけで別れたけどね)

いだます   もったいない、惜しい、いたましい
 用語使用例1:けとばすがのご(残)っつまって、「いだます」から誰が食(く)わねが(馬刺しが残っているけど、もったいないから誰か食べないか)
 用語使用例2:せっかくつぐ(作)ったのにぼっこわすのは「いだます」な(せっかく作ったのに壊すのは惜しいな) ※ぼっこわす→「は行」参照

いっちょめ    一人前 「いっちょめ」と言うと肯定的に捉えられるが、「いっちょめこぐ」「いっちょめこいで」となると生意気を言うという意味になる
 用語使用例1:このめぇまでこんなにちっちぇがったのに、こんなにでかぐなって、もう「いっちょめ」だな(この前まではこんなに小さかったのに、こんなに大きくなって、もう一人前だな)
 用語使用例2:高校生になったら親に反抗すて、もう「いっちょめこぐ」ようになった(高校生になったら親に反抗して、生意気になった)

いっぺ   一杯、たくさん まったく違う意味で使われるので、前後の文脈で判断する
 用語使用例1:まぁ、「いっぺ」やらんしょ(まぁ、一杯飲んでください)
 用語使用例2:まっと「いっぺ」あがらんしょ(もっとたくさん召し上がってください)

いまっと   もっと、たくさん 「まっと」ともいう
 用語使用例:「いまっと」くわんしょ(もっと召し上がってください)

うづ   家 うちが訛ったもの
 用語使用例:「土砂崩れがあったげんじょ、おめの『うづ』はさすけながったが」(土砂崩れがあったけど、あなたの家は大丈夫でしたか)

うっせぇ   うるさい、騒々しい

うるがす   水に浸す
 用語使用例:あすた(明日)なっと(納豆)つぐっから大豆「うるがして」おぐべ(明日納豆を作るから大豆を水につけておこう)

うんずぐね   くだらない、つまらない、意気地の無い 人に対して使うときは「うんずぐなす」となる
 用語使用例:いづろう(一郎)はほんとに「うんずくなす」だから(一郎はホントに意気地なしなんだから)

おいる   生える
 用語使用例:「山さ、わらびが『おい』できたな」(山にわらびが生えてきたね)

おがす(おがすな)   おかしい(おかしな)、不審(不審な) (注:お菓子がなまると「おがす」になるが、ここではその意味ではない)
 用語使用例1:葬式(そうしぎ)にそのカッコでは「おがす」べ(葬式にその格好ではおかしいだろ)
 用語使用例2:さっち、「おがすな」男(おどご)が駅(えぎ)のほうさ行ったぞ(さっき、不審な男が駅の方に行ったよ)

おがや   おかあさん

おしゃう   押さえる、つかむ
 用語使用例:このはすご「おしゃい」ででくろ(このはしごを「押さえて」てくれよ)

おだれる   折れる
 用語使用例:かぎ(柿)の枝が「おだれて」二郎(ずろう)がち(木)からお(落)づっつまった(柿の木の枝が折れて二郎が木から落ちてしまった)
 ※柿の発音は「かぎ」というよりは「かじ」に近い

おど   おとうさん

おどで   おととい

おっかね   怖い
 用語使用例:おめの運転はちゅう(急)にハンドル切っから乗ってて「おっかね」な(君の運転は急にハンドル切るから乗っていると怖いよ)

おっとばす   突き飛ばす
 用語使用例:しと(人) 「おっとばした」らあぶねべ(人を突き飛ばしたら危ないだろ)

おったまげた   びっくりした

おなご   女性

おなんこ   女の子 おなごは女性全般に対していうが、おなんこは主に成人前の女の子に対していう

おばさ(おばや)   おばさん、おばさま 会津弁では、「〜さん」を「〜さ」と省略するのが一般的。「花子さん」の場合だと「花子さ」と言う。この場合も、「おばさん」が省略されて「おばさ」になっている。「おばや」ということもある
 用語使用例:これがら花子「おばさ」のうづ(家)にあいさづさ行ってくんべ(これから花子おばさんの家にあいさつに行ってくる)

おばんです   こんばんは

おべる   覚える
 用語使用例:「ゆんべなんてゆったが『おべでっか』」「いや『おべでね』な」(「夕べなんといったか覚えているかい」「いや、覚えていないな」

おめ   君、あなた、おまえ(主に目下へ向かって言うときに使う) 複数形は「おめなず」、または「おめら」
 用語使用例1:塀さ落書ぎすたのは「おめ」が(塀に落書きしたのは君か)
 用語使用例2:「おめなず」はちたがだ(喜多方)さ観光で来らったのがよ(あなた方は喜多方に観光できたのですか)

おめほ   君、あなた、おまえたちのところ(地域や所属する組織) 「ほ」は「方」が短くなったもの 〔どちらかというと、目下へ向かって言うときに使う〕;(反対語)おらほ
 用語使用例:今度の運動会で「おめほ」ではす(走)んのはだんじゃ(今度の運動会で君の地区では誰が走るの)

おもしぇ   おもしろい(日本語の「おもしろい」と同義)
 用語使用例:このめぇ読んだ伊坂幸太郎の『砂漠』は「おもしぇ」がった(この前読んだ伊坂幸太郎の『砂漠』はおもしろかった)

おもしゃぐね   おもしろくない(「おもしぇ」の反対語、または否定語)
 用語使用例:なんだがテレビは「おもしゃぐね」番組ばっかすだな(なんだかテレビはおもしろくない番組ばかりだな)

おらい   私の家
 用語使用例:これがら「おらい」で新年会だ(これから私の家で新年会です)

おらほ   私たちのところ(地域や所属する組織)、私たちと複数形で使われることもある 反対語;おめほ
 用語使用例:そのみごす(御輿)は「おらほ」のだ(その御輿は私たちの地区〈あるいは町〉のものですよ)

おれ   わたし、自分 会津では女性も自分のことを「おれ」という。「自分の」という意味になると、「おれ」が「おら」に変わる。
 用語使用例1:それは「おら」が本だ(それは私の本です)
 用語使用例2:「おらい」に寄っていがんしょ。(私の家に寄っていってください)
 ※家のことは「い」または「うづ」というが、私の家と言うときは「おらい」となる。

おれら   わたしたち、僕たち、自分たち(わたし、僕の複数形)

おんつぁ   ばか、愚か、役立たず
 用語使用例:「おんつぁ」だな、そんな簡単なこともわがらねえのがぁ(ばかだな、そんな簡単なこともわからないのか)

おんつぁげす   「おんつぁ」(名詞)に「げす」(名詞)がついた言葉で、ばか野郎、愚か者 「おんつぁ」よりは少しきつい言い方になる げすは「下司(下衆、下種)」の意味なのだろうか。ただ、「おんつぁげす」は、「下司野郎」という言葉よりも柔らかい意味のときに使う。
 用語使用例:しと(人)を棒っちれではだいだら大ケガすんにち(決)まってんべ、この「おんつぁげす」(人を棒で殴ったらケガするに決まっているだろう、このばか野郎)

おんつぁれる   しかられる 「おんつぁ」(名詞)に「〜される」という動詞がついた言葉
 用語使用例:酔っぱらって帰ったら、かあちゃんに「おんつぁれる」ぞ(酔っぱらって帰ったら、奥さんにしかられるよ)

おんつぁま   おじさん、あるいは年配の男の人 おじさまが訛ったもの