■今度結婚する
〔会津弁〕
三郎「さっち、社長が経理さわけぇおなご 採用すんだってゆってだぞ」
明夫「こんなちっちぇ会社で、経理には3人もいんのに、まだ採用すんのが」
三郎「んだって、経理の和子が結婚すんので4月で会社辞めんだってよ」
明夫「和子がこどぶぎ退社が。んだげんじょ、誰ど結婚すんだ?」
三郎「すりでが」
明夫「すりで。おしぇでくろ」
三郎「タダではおしぇらんに」
明夫「んじゃ、こんだビール一杯おごるがら」
三郎「んじゃおしぇんべ。おれど6月に結婚すんだ」
明夫「ほんとが。ウソであんめな」
三郎「ホントのはなすだ」
明夫「ビールおごんのやめだ」
〔日本語訳〕
三郎「さっき、社長が経理に若い女性を採用するんだっていってたよ」
明夫「こんな小さい会社で、経理は3人もいるのに、まだ採用するのかい」
三郎「だって、経理の和子が結婚するので4月で会社を辞めるんだって」
明夫「和子が寿退社かい。だけど、誰と結婚するの」
三郎「知りたいかい」
明夫「知りたいよ。教えてくれよ」
三郎「ただでは教えられないね」
明夫「それじゃ、今度ビールを一杯おごるからさ」
三郎「それじゃ教えるよ。ボクと6月に結婚するんだ」
明夫「ホントかい。ウソじゃあるまいな」
三郎「ホントの話だよ」
明夫「ビールおごるのは止めた」
〔解説〕
「教える」を会津弁では「おしぇる」または「おせる」と発音します。会津弁では「し」は「す」と発音するのが一般的ですから、「おしえる」は本来なら「おすえる」となるはずです。しかし、実際は「おしぇる」または「おせる」と発音します。「おしえる」の「し」と「え」を別々に発音するのではなく、一つで発音するために「しぇ」または「せ」となります。
英語で「get away」は「ゲット アウェイ」と発音するのではなく、「ゲッタウェイ」または「ゲラウェイ」と発音しますが、それと同じことだろうと思います。