草野球の翌日の会話


■仲間との会話

〔会津弁〕
良雄「ちんな、すさすぶりにやちゅう(野球)やったらあつこつちんぬぐつう(筋肉痛)でいでぇ」
弘「とすかんげねではりちり(張り切り)すぎだでねぇの」
良雄「んだな、花子が見さちてだがら、いいどご見せんべど張りちっつまった」
弘「花子 ちてだのが。んじゃ、オレもいぎでがったな」
良雄「やちゅうのあど、居酒屋でうづあげやったら、花子もつぎあってくっちな、そんじ、オレは花子の隣に座ったのよ」
弘「うめぇごどやったな。うらやますな」
良雄「そう思うべ。隣だがらはずめはビールついでくれだげんじょ、そのうづ花子はむげぇ(向かい)のたがす(隆)とばっかしゃべってて、こっつはくづ(口)もはさめなくてな。しょうがねがらオレはたづお(達夫)どばっかしゃべってだ」
弘「なんだ、あんますうらやますぐもねぇはなすだな」

〔日本語訳〕
良雄「昨日、久しぶりに野球をしたら、あちこちが筋肉痛で痛いよ」
弘「年を考えないで張り切りすぎたんじゃないの」
良雄「そうだね、花子が見に来ていたので、いいところ見せようと張り切っちゃったよ」
弘「花子が来ていたの? それじゃ、ボクも行きたかったな」
良雄「野球の後、居酒屋で打ち上げをしたら、花子も付き合って参加したんだよ。それで、オレは花子の隣に座ったんだ」
弘「うまいことやったね。うらやましいよ」
良雄「そう思うだろ。隣だから初めはビールを注いでくれたけど、そのうち花子はもっぱら向かいの隆とばかり話していて、オレは口も挟めなかったんだ。しょうがないからオレは達夫とばかり話していたよ」
弘「なんだ、あまりうらやましくもない話だな」

〔解説〕
会津弁では「ない」を「ねぇ」と発音します。ここで取り上げた例では、「張り切りすぎたんじゃないの」は「はりちり(張り切り)すぎだでねぇの」ですし、「うらやましくもない」は「うらやますぐもねぇ」となります。
ですから、否定的に使われる「〜でない」はすべて「〜でねぇ」となります。
また、「ない」の付く単語の「市内」「竹刀」は「すねぇ」ですし、「屋内」も「おくねぇ」と発音します。ただ、屋内については、発音は「おくねぇ」ですが、普通は「いのなが(中)さ入れ」(家の中に入りなさい)だとか「店さ入れ」(お店に入りなさい)というように、具体的にどの建物の屋内に入るのかをいうのが自然です。